薬のケースと葉

ジスロマックは日本でポピュラーな性感染症である性器クラミジアに有効な治療薬のひとつで、病院や診療所で処方されています。クラミジア以外にも、耳鼻科・呼吸器科・歯科などでも細菌感染症の治療のために使用されています。ジスロマックは性器クラミジアの治療に効果的な薬ですが、薬の服用方法や効き目を理解するためには有効成分について知っておく必要があります。

ジスロマックの有効成分はアジスロマイシン水和物と呼ばれる化学物質で、これは15員環マクロライド系抗生物質です。マクロライド系抗生物質は、病原菌の細胞内でタンパク質の合成を阻止する働きをします。細菌の体はタンパク質でできており、細胞の材料を作れないようにすることで病原菌の増殖を防ぐ仕組みです。

アジスロマイシンとよく似た構造・作用を持つマクロライド系抗生物質に、クラリスロマイシンがあります。これもクラミジアに効果がある薬で基本的な作用メカニズムはアジスロマイシンと同じですが、分子の基本骨格は14個の炭素原子から成る14員環です。アジスロマイシン分子はクラリスロマイシンの基本骨格に1個の窒素原子が導入されていて、合計15個の炭素と窒素原子から成る環状分子が構成されています。アジスロマイシン分子は基本骨格の構造に1個の窒素原子が導入されている点を除けば、クラリスロマイシンと同じ分子構造です。

アジスロマイシンは基本骨格に1個の窒素原子が導入されたことで、体内で長期間にわたり血中濃度を保つことができます。このため、最初に薬を飲むだけで1週間~10日間にわたり体内で抗菌効果を発揮します。クラリスロマイシン錠(クラリスなど)は血中濃度の持続時間が短いので、治療が完了するまで毎日薬を飲む必要があります。これに対してアジスロマイシン錠(ジスロマック)であれば、最初に1回または3回だけ薬を飲むだけで感染症の治療ができるというメリットがあります。

ジスロマックの有効成分のアジスロマイシンは、細菌が増殖する際に細胞分裂を阻止する働き(静菌作用)をします。一般的に静菌的に作用する抗菌薬は、既に存在している病原菌を殺菌することはできません。ただしアジスロマイシンは高濃度であれば細菌を殺傷することが可能で、殺菌作用も持っています。アジスロマイシン水和物は胃酸で分解されないため、内服薬(飲み薬)でも有効成分の血中濃度を高くして殺菌的に作用させることができるというメリットがあります。

クラミジアの治療をする場合は、最初に有効成分が1000mgに相当する量のジスロマックが投与されます。有効成分の血中濃度を高くすることでクラミジア菌に対して殺菌効果が発揮されるので、薬を飲んでから2~3時間ほどで症状が改善します。